シマとの対話

──沖縄の過去と未来について考えるとき、僕はシマと対話する。シマとは、僕にとって老賢者のような存在──  南島詩人・演出家として活躍する平田大一。県内外を縦横無尽に走り抜け、骨太な活動を続ける日々の中で、思索の森を歩き、刻む、真実の言葉たち。  平田大一がつむぐコトノハと、KUWAこと桑村ヒロシの写真がつむぐ、「新・シマとの対話」。2015年4月15日より新連載スタート!(毎月1日と15日に更新予定)

2016年03月02日

新・シマとの対話~第22話「道」

写真・桑村ヒロシ

「道」

ある人曰く。
「道とは探すモノではなく、作るモノでもなく、
ただ! 気がつくモノ」。

僕は、足下からのびる道を見る。
心の中にのびる一本の道を。

ある人曰く。
「道に迷わない秘訣とは・・・決めて歩かないこと。
…曲がりくねった道も人生も、決めて歩かなければ全てが正しい!」

いかなる状況をも前向きに捉える、
楽観主義の心には必ず光が差す!

曲がりくねった道も、入り組んだ人生も
楽しむ気概があれば、いつしか道も拓いて行く!

大きく深呼吸する。
そして、僕は頭上に広がる3月の空を見上げた。


先日、劇団四季の佐々木典夫会長と食事した。
2016年2月27日のことだ。

四季と言えば日本にミュージカル文化を定着させたスゴイ劇団だ。
「キャッツ」「ライオンキング」「美女と野獣」そして「アラジン」。

劇団員や職員、約1300人規模、
年間3700公演、年間300万人以上の動員力を誇る、
間違いなく日本を代表する超巨大劇団である。

佐々木さんはそんなビッグな団体の会長とは思えない
温和な笑顔で僕に語りかけてくれる。

「四季は戦後間もない1953年(昭和28年)に設立されました。
この60年余り活動してきて思うことは、企業は利益ですが、
劇団は運動だと言うことです。」

ああ!
本当にそうだ! その通りだ!
文化の「産業化」は文化の「運動」であるべきだ!

人をつくる
心をつくる
地域をつくる

文化のシゴトは、
道をつくることであるべきだ。

勿論!
四季とは違った道を僕は歩むのだろうけれども、
その背中から学ぶモノは余りにも大きい!

「文化がシゴト」になることは夢物語だと
思っている人が多いこの島の人に、僕は叫ぶ。

だけど劇団四季がいる!
日本に新たなスタイルを根付かしながら
文化を生業にしてきた人達が確かにいる。

そして、その中心にいる人が明言している。
「適正利益を確保しながらこの劇団という船の乗組員を
守り攻めていくことが私の役割です。」
        (日刊 スゴイ人より)

道とは探すモノではなく、作るモノでもなく、
ただ! 気がつくモノ。

僕は、足下からのびる道を見る。
心の中にのびる一本の道を、
今確かに見つめる。


前略 南ぬシマジマ

佐々木会長との食事を終えた帰り道の車中、
カーステレオから宮沢さんの声がする。

♪先駆けの背中を追い 
はぐれぬようについてゆく
 藪漕ぐ跡が道となり 
我らが踏みしめる.
        (楽曲「The Drumming」)

一月(いちげつ)往(い)ぬる、
二月(にげつ)逃げる、
三月(さんげつ)去る

正月から3月までは行事が多く、あっという間に過ぎてしまう
の言葉通り、気がついたらもう、3月の扉が開いている。

そう言えば、
映画の中の誰かも、こんなことを言っていたな。
「道を知ることと、その道を歩くことは違う」

自覚した使命は、
行動してこそ拓かれるのだ、と言うことか。

車窓を少し開けると生温かい潮風に乗って、
新しい「何か」の匂いがした。

 (南島詩人/平田大一)


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毎月1日15日に隔週で連載していきます!
 どうぞお楽しみに!!

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Posted by 平田大一(Hirata Daiichi) at 19:02