2015年10月01日
新・シマとの対話~第12話「ネクストチャレンジ!ネクストステージ!」
舞台「肝高の阿麻和利」を「現代版組踊」と
名付けたのには訳がある。
一つは「阿麻和利王」の名誉挽回の為、
もう一つは「新たなジャンル確立」の為であり
「新たな様式の構築、ニュースタイル」を打ち出す為である。
1719年、古典様式の「組踊」のスタイルを創出した
玉城朝薫(たまぐすく ちょうくん)は35歳、
大和文化の「能、歌舞伎、狂言、」そして「人形浄瑠璃」などの影響を受け
琉球芸能との融合を図り生み出されたのが「組踊」である。
その時、最初に創作した舞台が「二童敵討」という作品で、
護佐丸の遺児である鶴松、亀千代の二人が
父「護佐丸」の仇、あまおへ(阿麻和利)を仇討ちするという内容なのであるが、
これが当時のオーディエンス、つまり冊封使の客人に多いにうけた!
人気作品、組踊の代名詞として演じ続けられてきた「二童敵討」によって、
「阿麻和利」は「悪役、悪人」としての負のレッテルを
まさに「組踊」と言う舞台でプロパガンダ(宣伝)されて来たのである。
「最も古い『組踊』で悪者扱いされたのだから、
最も新しい『組踊』で阿麻和利様の名誉挽回、汚名返上をするのである!」
当時の勝連町教育委員会の思いを代弁すればそういうことになる。
「現代版組踊」と言うネーミングは正史とされてきた琉球の歴史を変える、
大事業なのであった。
もう一つの「新たなジャンルの確立」とは、
今まさに現代版組踊推進協議会などで議論されている
「現代版組踊とは一体何であるか!」と言う
真面目な問いかけへの答えである。
「地域の物語や伝承を舞台化し、地域の子ども達で演じる舞台」
「現代版組踊」を評すればそうなるが必ずしも
「子どもの為」が主眼では無いと僕は思っている。
2005年制作の「大航海レキオス」には大人も大勢出演していたし、
文化産業の新たな展開としての位置づけも確かにあったはずだ。
ただ結果的に、「子どもが舞台に立ち、大人がサポートし、
持続可能な取り組みにより地域コミュニティーの創出や再生が計られている」と言う点においては、間違いなく「現代版組踊モデル」
或いは「きむたかメソッド」とも言うべき、先進的事例にはなっていると思う。
2011年、僕が県の要職を機に現場から離れてから現在でも、
県内のみならず県外での新作が生まれて来ている状況をみると
この取り組みには計らずとも普遍的な要素があると思われる。
演劇でもない、ミュージカルでもない、
どんな要素も組み入れながらの舞台形式を表現するために
「現代版組踊」と言うニュージャンルを名付け、
一方では古典歌舞劇「組踊」の入り口として、
「現代版」が存在感を発揮するのである。
前略 南ぬシマジマ
2015年9月11日と、同月23日に分けて
僕は全く違うコンセプトの新たな新作舞台制作の記者会見の現場にいた。
一つは、本年12月20日読谷村文化センター鳳ホールで上演予定の
沖縄偉人劇シリーズ第1弾!
「屋良朝苗物語~一条の光を求めて~」のプレスリリース。
もう一つはアジア最大のリゾートモール
「イオンモール沖縄ライカム」にて来年2月5日から14日にかけての
10日間連続公演を目指す、
NEO Champloo シリーズ第一弾!
演出「平田大一」、音楽「宮沢和史」による、
The Drumming ~それでも僕達は、この地球(ほし)を叩き続ける
の制作記者会見である。
新たな二つのシリーズの舞台は僕自身への挑戦状でもある。
「現代版組踊シリーズ」誕生から16年、
南島詩人平田大一の新たな「ジャンル創出」に向けた、
次への取り組みが事実上、始動した瞬間である。
奇しくも9月23日の記者会見当日、
シルバーウィークで賑わうイオンモール沖縄ライカムの
幾つも点在するイベント広場では、
アトラクション版「肝高の阿麻和利」上演と、
イクマあきらさんのライブコンサートが偶然にも同時多発的に展開されていて、
ふと僕は、不思議な感慨に見舞われた。
「ダイナミック琉球」や「肝高の詩」があちらこちらから聞こえる場内で、
その両方にガッツリ関わった当の本人であるこの僕は、
新たな舞台の立ち上げを発表する記者会見を開いている…
遠くから聞こえてくる自分の作った曲を聞きながら、
そうだ!この歌声が寂れない為に、僕は「次」に向かっているんだと、
激しく実感した。
僕が「次の挑戦」「次の舞台」を目指している限り、
響く歌声、躍動する舞台の生命力は充ち満ちているのだ!
「ネクストチャレンジ!ネクストステージ!」
それが産み落とした者の覚悟である。
(南島詩人/平田大一)
(南島詩人/平田大一)
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※毎月1日と15日に隔週で連載していきます!
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Posted by 平田大一(Hirata Daiichi) at 07:15