シマとの対話

──沖縄の過去と未来について考えるとき、僕はシマと対話する。シマとは、僕にとって老賢者のような存在──  南島詩人・演出家として活躍する平田大一。県内外を縦横無尽に走り抜け、骨太な活動を続ける日々の中で、思索の森を歩き、刻む、真実の言葉たち。  平田大一がつむぐコトノハと、KUWAこと桑村ヒロシの写真がつむぐ、「新・シマとの対話」。2015年4月15日より新連載スタート!(毎月1日と15日に更新予定)

2010年06月16日

シマとの対話〜第Ⅱ章その18『原点という名の永遠』

Photo_KUWA

「原点」を忘れないように
「取り組み」の始まりの経緯を確認する意味をこめて始めた
「あまわり勉強会」

新メンバーが加わったこの時期
当時の教育長「上江洲安吉」先生を招き
今年応募してきた子ども達
全員参加で挑むガチンコ講話なんだ。

1999年12月24日に開催された
「肝高の阿麻和利舞台公演説明会」
会場となった中央公民館「勝連町シビックセンター」
わずか7名で始まったその場所で
怒涛の如くのこの11年を振り返り

新たな気持ちで望むこの時に
新たな10年先に向けた原点を刻むそのために
今は活気に息吹くあの日と同じシビックセンターで
総勢170名で開催できる幸せを噛み締めながら
僕も毎年、参加する。

今年度の「勉強会」の開催は
5月22日だった。

上江洲先生のお話はシンプルだ。
シンプルで解かりやすい!
…少し、長いけど。

「この舞台を通して私が何をしたかったのか…」
先生は語る。
「一つ目には、『挨拶が出来る子どもになってほしい』ということ。
 二つ目には、『自分の想いを伝えきれる子どもになってほしい』ということ。
 これ以外は何もなく、これ以上も何もない!」

真理!真理!
ああ!…本当にその通りだ!

専門的に言えば
「コミュニケーション能力の向上」と「豊かな表現力をつける」
ということなのだが、
そんな言葉では子ども達には伝わらない…

「挨拶ができる人に」
「自分の想いを伝えきれる人に」
という具体的で解かりやすいその「指標」に
子ども達が即行動を起こしたのだ。

そして、先生はこう続けた。
「自分で歌いながら演じながら、自分の歌声に演技に…
 自分自身が感動して涙を流す!自分が自分を解かるということは
 とても、とても!凄いことなのです。」

シンプルで
真っ直ぐなメッセージが胸にビンビン響く。


思えば…
2000年の「あまわり勝連城跡公演」
2003年の「あまわり関東5会場連続公演」
2005年の「国立劇場おきなわ招聘公演」
2008年の「初の海外・ハワイ公演」
2009年の「全国縦断県外公演」

僕の活動の指標軸を常に指し示し
向かうべき方向に導いてくれた
あまわり舞台の中の白いお髭のお爺さんでお馴染み
「大主様(うふしゅさま)」のような存在
それが「上江洲安吉」先生ではなかったか!


「大主様」の少し長いけど
とてもためになる講話は最後に
「20年後の沖縄の未来像」で締めくくられた。

「20年後の沖縄は色んな国の人々が大勢集まり
 仲良く共生していく拠点になっているであろう。
 そのときこそ、地域文化の重要性が問われるときであり
 あまわりの精神文化はまさにその時代にこそ最も必要とされる。
 私はこの『日本・沖縄多民族国家論』を確信し
 次の琉歌(沖縄調の和歌)に想いを託したいと思う…」

そしてこう詠って結んだ。

「あまわりの心 しけに道ひらち わしたきむたかぬ ふくい高さ」
(あまわりの心、世界に道開き、我々の志の、なんと誇り高いことよ)



大きな目標を頂いた僕は
新たな道づくりにまた闘志が湧いてきた!
荒れる運命なれど
漕ぎだしたこのサバニ(舟)で!


                (南島詩人/平田大一)


書籍版『シマとの対話【琉球メッセージ】』平田大一のブログ『シマとの対話』が、
書籍版として新たに生まれ変わりました!
南島詩人・平田大一とKUWA(ryuQ)の写真とが
コラボレーションした、情熱と感動の作品集です!!


書籍版『シマとの対話【琉球メッセージ】
文:南島詩人・平田大一 / 写真:桑村ヒロシ(KUWA)
出版:ボーダーインク
発売日:7月31日(好評発売中)
価格:¥1500(+税)
※通販は、てぃーだショップボーダーインクで販売中!

→ http://shop.ti-da.net/search/item.asp?shopcd=2100&item=SHIMATONOTAIWA
→ http://borderink.shop-pro.jp/?pid=15119540



Posted by 平田大一(Hirata Daiichi) at 16:00