シマとの対話

──沖縄の過去と未来について考えるとき、僕はシマと対話する。シマとは、僕にとって老賢者のような存在──  南島詩人・演出家として活躍する平田大一。県内外を縦横無尽に走り抜け、骨太な活動を続ける日々の中で、思索の森を歩き、刻む、真実の言葉たち。  平田大一がつむぐコトノハと、KUWAこと桑村ヒロシの写真がつむぐ、「新・シマとの対話」。2015年4月15日より新連載スタート!(毎月1日と15日に更新予定)

2009年08月18日

シマとの対話〜第II章その8『受け止め力〜受け止める力』

Photo_KUWA
僕の舞台の現場でひと際目立つ
スタッフがいる。
その人たちの凄いところは
「受け止める力」に長けているということだ。

例えば。
ダンスのワークショップを開いたとき
毎講座ごとに増える新たなメンバーに嫌な顔一つせず
「大丈夫、今からでも間に合うよ〜」
とむしろ諭している。
「本番直前で悪いんだけど、この子、入れてくれる?」
という僕の無茶にも絶対に
「無理!駄目!」と否定しない。
演出家の無茶苦茶な変更にも対応し
教えている子ども達に演出家の悪口を言わずに
その変更を見事に伝えていく。

…それくらい、自分だって出来ますよ〜って
誰もが言うかもしれないが
このスタッフ達の場合は筋金入りなんだ
いかなる状況でも受け止めるんだ。
どんな時でもブレ無いから
子ども達に人気がある
地域からもまた来てほしい!と懇願される。

彼らの「否定しない!」という「受け止め力」に驚かされる。


例えば。
配役発表をしたとき。
自分がやりたい役に当たらなかったときのこと。
子ども達の反応も悲喜こもごもだ。

ある子は貼り出された配役表を
穴があくほど見ていると
急にタオルに顔を埋め「わーっ!」としばし絶叫!
瞬間、「よし!切り替えた!!」
と与えられた役のセリフをすぐに練習を始めた。

ある子は貼り出された配役表を
マジマジと見つめると一言
「意味があるに違いない…」と静かに呟き
納得はまだいかないだろうに
とにかく稽古を始めた。

また、ある子は貼り出された配役表を見て
「納得がいかない、演出家の説明を聞くまでは!」
と素直に疑問を抱き、僕に質問をぶつけてきた。
無論、話しをすると納得して自分の与えられた役に
なりきっていった。

…見ていて気がついた。

与えられた役に納得がいかず
文句を言ってとりあえず演じている子は
結局、どの役になってもそこから学ぶことが無いようだ
ということだ。

故に、本当にやりたい役にあたっても
本人の成長は見えない
結果、舞台そのものもつまらない。
それは、そこに「挑戦!」がないからだ、
ということに。

おかれた状況が納得がいかないどんな人でも
そこに意味を見出し
前向きに取り組んでいる人は
どの役からも、どんな状況からでも
「学び」を得ることが出来る
価値を生み出すことが出来る。

その価値は「次の機会(ネクストチャンス)」に
必ず活かされる。

会社で
組織で
チームで
役職で

納得のいかない現場に配属されたり
不条理ともいえるシゴトを任されたり
望んでもいない役に配役されたり
出てきた答えが、
期待はずれな結果だったりしたとしても

大事なことは
「受け止める力」だ。
「きっと!意味がある。何かわけがある。」と
勝手に思い込み、意味を見出そうとする想いの深さだ。
心の素直さこそが、運を呼び寄せる秘密であるに違いない。

勝機は必ずそこにある。

なぜなら「見ているからである」
社長は
監督は
責任者は
演出家は

その人の
「受け止める力」を信じて
見つめているのである。

南島詩人/平田大一


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Posted by 平田大一(Hirata Daiichi) at 19:00