シマとの対話

──沖縄の過去と未来について考えるとき、僕はシマと対話する。シマとは、僕にとって老賢者のような存在──  南島詩人・演出家として活躍する平田大一。県内外を縦横無尽に走り抜け、骨太な活動を続ける日々の中で、思索の森を歩き、刻む、真実の言葉たち。  平田大一がつむぐコトノハと、KUWAこと桑村ヒロシの写真がつむぐ、「新・シマとの対話」。2015年4月15日より新連載スタート!(毎月1日と15日に更新予定)

2009年02月16日

シマとの対話~第II章その2『種を蒔く人』

シマとの対話~第II章その2『種を蒔く人』
その地域の「未来の顔」は、
その地域に生きる目の前の子ども達の
「顔」を見ればわかる。
その目に宿る「眼差し」の奥の
光りを見れば良くわかる。

今、君の目の前に立つその子が
「魚の死んだような目」
をしているのかそれとも
「真正面を見据えた、活きいきした目」
をしているのか…

確かに子ども達には罪はない
きっと僕ら大人の責任もかなりあるだろう。
だから僕は目の前にいる子ども達に
真剣に語らなければならない。


僕は手元にある新聞の記事の切り抜きの
自分のコメントに目をおとし決意する。

「詩の朗読舞台をかつて一緒につくった八重山
の高校生達の中に、島出身の詩人『伊波南哲』
をしっているのは数人しかいなかったことに、
ドキッとした。生まれ島の偉人を語れないことは、
自分自身のアイデンティティーを見失うことにも
つながるのではないか」
こうした思いから、今回は南哲を知る大人たちを
中心に、若い世代がプロデュースした。「文化の
八重山を目指して若手から発信していきたい」と。

(平成7年11月22日 沖縄タイムス『魚眼レンズ』より)
この新聞記事掲載から14年。
伊波南哲が著した「オヤケアカハチ」舞台の
東京公演がこの夏、実現することが遂に決定した。
演じるのは全員が八重山の小・中・高校生。
そして舞台の制作や運営を担うのは
その親の会のメンバーという圧倒的素人集団だ。

僕は思う。
「感動は、継続する夢の原点であり、
持続可能な取り組みの原動力だ。」
ということを。
そしてこの「想い」の原点が
舞台「阿麻和利」の誕生とも
大きく意味を持っていることも。


「人づくりの種をまく」
その「種」とは、「感動体験」そのものである。
涙を流すほどの「感動体験」が子どもの頃にあったかどうか!
これがとても大切なのではないか。

否!
確かに「種」をまいたからと言って必ずしも
「芽」が出るとは限らないだろう。
でも、蒔かなければ可能性は「ゼロ」である。
蒔けば可能性は決して「ゼロ」にはならない!

だから僕は今日も「種」をまく。
僕が出来るのは多分「感動体験」のきっかけづくり
「感動体験」という種を心に蒔きつづけることなんだ。

ささやかな僕の
これが革命の旗印。

感動体験で芽生えた
「地域に根差して、人に尽くすシゴト」
への意識が、きっとより良い未来をつくるのだ。

僕はそう信じる。

そのために大切なことはなんだろう。

ある日。
考えている僕に「コトノ葉」が届いた。

「人を育てようとは思わず、
常にかっこいい師匠となれ!」

たった一言書かれた文字に胸が奮える。

「人をつくるというよりも、自身が輝く指導者に」
これが今の僕の生き方の根っこになった。

南島詩人/平田大一


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Posted by 平田大一(Hirata Daiichi) at 00:00