シマとの対話

──沖縄の過去と未来について考えるとき、僕はシマと対話する。シマとは、僕にとって老賢者のような存在──  南島詩人・演出家として活躍する平田大一。県内外を縦横無尽に走り抜け、骨太な活動を続ける日々の中で、思索の森を歩き、刻む、真実の言葉たち。  平田大一がつむぐコトノハと、KUWAこと桑村ヒロシの写真がつむぐ、「新・シマとの対話」。2015年4月15日より新連載スタート!(毎月1日と15日に更新予定)

2008年10月29日

第52話『1/fの揺らぎ』(南島詩人・平田大一)

PhotopBy_KUWA
「一番要らないモノは?」
聞かれたら
「マニュアルだ」と答えたい。

小説「リング」の著者で「主夫作家」としても有名な
鈴木光司氏、曰く。

「子育てマニュアルなんて、一切読まなかった。
 子育ては、もっと自己流でいいと思う。
 何が必要で、何が必要じゃないかを、
 自分の頭でまず考えてみる。
 そのためには想像力が大切だ。」

また別の場面でもチクリ。

「人間というのは、自分で自分を縛ってしまう。
 自由になりたいと言いながら、
 周囲の目を気にして、自分達でルールを
 作っているところがある。
 病気だから、校則があるから、もう歳だから。
 些細な縛りのせいで、ダイナミズムが失われている。
 それが現在の日本の姿ではないか。」
         
更にまた、別な場面。

「何が最良かは、人によって違う。
 マニュアルはなくて、自分に必要なものが
 何かを、見定めることが大事。」

                  (「家族の気持ち」より)

「王道、門無し」
というコトバもあるが、
所詮!
道を究めるのに決まりごとは無く、
自分の直感で、類まれない嗅覚で
進むべき道を決めていくということだ。

たとえ、それがどんなに遠回りや
無駄な時間を費やしたとしても
結果!
自分で決めた道には一切の「ムダ」はない。

そう思う。

東大出身の知人は言った。
「人は予定通りを望みながら、その実、
 計画通り進むとストレスが溜まる傾向性があります。
 予定調和は、案外、人間的なリズムでは無いかも知れません。
 自然の風やさざ波が、不規則でありながらも
 大きな営みの中で規則的に動いている。
 それを“癒し”と感じる感性もそういう意味が
 あるからだと思います。」


規則性と不規則性の真ん中を
ゆらゆらと揺れながら伸びる一本の線。
それを、専門的には
「1/f(エフ分のいち)の揺らぎ」と呼び、
カオス(混沌)の中から突如して現われる
最も「力の抜けた、ベストな状態」を言うらしい。

シマの営みは全て
この「不思議な揺らぎ」に包まれている。

人として
命をつなぐ人として
最も大切な原点がこのシマにある。

マニュアルに囚われず
一般的常識に囚われず
人の目を気にせず
自分自身を殺さず
大きな流れにゆらゆらと揺れながら
道を見つめていく。

ダーウィンが、
「賢いモノでもなく、喧嘩が強いモノでもなく
 常に進化し続けてきたモノしか、生き残れなかった。」
と、その進化論で論じたように、
もしかすると僕たちもまた
この時代の大きなうねりの中で
「試されている」のかも知れない。

ふいにウタが口から出た。

      風に吹かれて 島を歩く
      夢に吹かれて 海を渡る
      月に吹かれて 唇を交わし
      罪に吹かれて また明日を思う。

      歩く僕が吟遊の
      南島詩人であるがまま。
               (「南の島を詩う」)


               南島詩人/平田大一




Posted by 平田大一(Hirata Daiichi) at 00:00
この記事へのコメント
平田さんと

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Posted by Star ☆ プラチナStar ☆ プラチナ at 2008年10月29日 22:47
『人として、命をつなぐ人として、最も大切な原点』
その一つがあさって5日にオープンします。
そこが私の新しい職場。

今日その内覧の席でかなり著名な大学教授(他府県出身)達から
『阿麻和利、勝連、平田大一、100歳の~、島の・・・』などと
沖縄を愛する人たち(特にF氏)が公演していました。

あなたにはそれが聴こえたでしょうか?
平田大一の『大きな流れ』は確実に動いています。
その渦はきっと高く、そして
更に、更に沖縄の先人達に届くまで高くなるでしょう。
その時に沖縄は変わっていくのでしょうね。

平田大一と、そしてあなたから教えられた人達の手で。
私にも、そのお手伝いさせてくださいね。
Posted by オーケー at 2008年11月03日 21:53