シマとの対話

──沖縄の過去と未来について考えるとき、僕はシマと対話する。シマとは、僕にとって老賢者のような存在──  南島詩人・演出家として活躍する平田大一。県内外を縦横無尽に走り抜け、骨太な活動を続ける日々の中で、思索の森を歩き、刻む、真実の言葉たち。  平田大一がつむぐコトノハと、KUWAこと桑村ヒロシの写真がつむぐ、「新・シマとの対話」。2015年4月15日より新連載スタート!(毎月1日と15日に更新予定)

2008年07月23日

第38話『グスク』(南島詩人・平田大一)

第38話『グスク』(南島詩人・平田大一)
天に向かって広げた手は
風の行方をさがしていたのか、
そこにただ屹っているだけ、
それだけで天とつながる。

古の者よ
この地にどのような
志を興したのか!

シン!と一人
「静寂」の中、佇んで
グスクの真ん中に立っている。

誰が手向けたのか
線香の煙
空気の流れを
教えるかのように
木々の間から見える碧い空へ
昇って消えていった。

古の志
古の情熱
古の夢

感じて
僕は、今を生きる。

聖地は何ゆえ
聖地であるのか

地の持つ力ゆえ
祈り満ち溢れるがゆえ
人の念い天に届くゆえ
あるいは!
古の夢「今」も生きるがゆえ。

風が吹く。
蝉が鳴きやみ
気がついた。

「静寂」などではなく
実は蝉の大音声の
中にいたこと。

気がついて
ぐるり
城の址を見渡した。

我が胸の中の聖地と
共鳴する
この地から
新たなる志を発信する。

その真ん中には
そう、いつも、
「人」がいた。

天のカタチをした
「人」がいた。

人ありて
廃墟はグスクに
なるだろう。

束の間の「静寂」を破るかのように
蝉!
また吼え始める。

南島詩人 平田大一




Posted by 平田大一(Hirata Daiichi) at 06:00
この記事へのコメント
新ブログにかわりはじめてお邪魔します。

相変わらず いそがしいですねヾ(@>▽<@)♪

ドラマ 拝見いたしました!(たのしいです!)

これからも応援するのでがんばってください。
Posted by ぴんくぱんだ at 2008年07月25日 20:06