シマとの対話

──沖縄の過去と未来について考えるとき、僕はシマと対話する。シマとは、僕にとって老賢者のような存在──  南島詩人・演出家として活躍する平田大一。県内外を縦横無尽に走り抜け、骨太な活動を続ける日々の中で、思索の森を歩き、刻む、真実の言葉たち。  平田大一がつむぐコトノハと、KUWAこと桑村ヒロシの写真がつむぐ、「新・シマとの対話」。2015年4月15日より新連載スタート!(毎月1日と15日に更新予定)

2008年06月25日

第34話『手紙』(南島詩人・平田大一)

第34話『手紙』(南島詩人・平田大一)
気がついたら夏。
高い雲の夏が来た。

島の家、大きな窓から見える雲のカタマリ
ゴウンゴウンと唸りを上げて
凄い勢いで流れていく。

久しぶりの生まれ島は
もう夏の祭りの季節。
気がつけば遠くで太鼓の音がする。

あの雲のせいか、
この暑さのせいか、
海に流した「手紙」を思い出す。
遠い記憶の彼岸の空に
想いをつづった
あの夏の便り。


 前略

 再会を約束して
 別れましょう
 散って彩る花もあるけれど
 今はまだあなた
 サヨウナラ
 とは言えません
 
 再会を約束して
 別れましょう
 涙もひとつこぼせたら
 素敵な思い出
 拾い集めてかき集め
 夜空を飾る星にして
 あなたに幸いばかりがあるように
 祈りましょう

 再会を約束して
 別れましょう
 散って彩る花もあるけれど
 今はまだあなた
 サヨウナラ
 とは言えません

 再会を
 再会を
 約束して別れましょう
 押しては返す
 あの波のように
 僕たちは何度もここで
 廻りあう。


夕暮れの海に出てみれば
流れ着いた「思い出」が幾つもあって
僕は刹那!
少年の頃の僕になる。

白い月が
笑っていた。

 南島詩人 平田大一




Posted by 平田大一(Hirata Daiichi) at 00:00
この記事へのコメント
てぃだネットで初めまして。 ロマンチックな詩に胸キュン!
Posted by ひろ at 2008年06月25日 00:22
この前の講演見に行かせていただきました。
キムタカすごい良かったです!感動しました。今、本も読みました。本当にいい言葉たくさん頂きました。ありがとうございます。私は感動することが大好きで、将来も感動したいし感動を与えられるようなお仕事がしたいと思っています。しかし抽象的すぎてよくわかってるのかわからないのか自分自身わかってません(笑)
シンポジウムで平田さんがおっしゃっていた感動産業っていう四文字は忘れられません。そういう産業あるんだー!と本当に感動しましたしぜひやりたい!と思いました。あっ長くなりすぎました。キムタカの見学に行かせていただきたいのですがいつありますでしょうか?
長文で失礼致しました。
Posted by はるか at 2008年06月26日 02:02