シマとの対話

──沖縄の過去と未来について考えるとき、僕はシマと対話する。シマとは、僕にとって老賢者のような存在──  南島詩人・演出家として活躍する平田大一。県内外を縦横無尽に走り抜け、骨太な活動を続ける日々の中で、思索の森を歩き、刻む、真実の言葉たち。  平田大一がつむぐコトノハと、KUWAこと桑村ヒロシの写真がつむぐ、「新・シマとの対話」。2015年4月15日より新連載スタート!(毎月1日と15日に更新予定)

2008年03月19日

第20話『失敗の自由』(南島詩人・平田大一)

第20話『失敗の自由』
そのまま!書く。
ノートの走り書きをそのままに。


大学を卒業後島に戻ります!
おそるおそる、報告した僕に恩師は言い放った。
   「平田君、アメリカではね、大企業を
    安易に選ぶのは三流の学生なんだ。」
人気のない学内、遠くでラグビー部のホイッスルが聞こえていた。

先生は続ける。
「かつて、140人の就職希望者の学生がいてね、
 40人はソニー、次に20人がホンダを挙げたんだ。
 アメリカの大学関係者の友人にこの話しをしたら彼は大笑いさ!
   『私の学生なら、ソニーやホンダの株主になってもいいと思うけど
    成績のいい学生ほど、アグレッシブな小さなベンチャー企業を選ぶ。
    いかに面白く、将来性のある仕事が出来るかが基準なんだ。
大企業に就職するのは、むしろ成績が悪い学生なんだ』ってさ。
いいかい、平田君。
君が一流の学生かどうかは今は僕はわからない。
だけど、君は島に戻るっていう!傑作だ!痛快だよ!
いいかい、忘れるなよ平田君。
一流の学生なら、自分で興すってことを。
僕が君を、遠くから見ていることを。」

誤解をおそれずに書く。
あの頃のままの書きなぐり、そのままに書く。
企業の名前が問題なのではない、「志の問題」なのだ。

失敗の許されないこの国で、
「失敗の自由」を説くのは難しいけれど、
僕たちは何度でも立ち上がれることを、
僕は何度でも立ち上がることを君たちと約束しよう。
力を持った個人の集まりこそが、
本当の群れとしてのパワーを持つことを!
どうか、君よ!
強く持ってほしい!


「前略 南のシマジマ」
 
 それぞれが、それぞれの道を
 歩いていくこの季節。

 それぞれが、それぞれの夢に
 辿りつけますように。
 
 先生はただ僕を励ましてあげたかっただけだ。
 
 仕事に一流も三流もありはしない。
 全てのシゴトに意味があるから。
 
 僕も君も大切な存在なんだ。

 南島詩人 平田大一
                      草々




Posted by 平田大一(Hirata Daiichi) at 00:00