シマとの対話

──沖縄の過去と未来について考えるとき、僕はシマと対話する。シマとは、僕にとって老賢者のような存在 ── 南島詩人・演出家として活躍する平田大一。県内外を縦横無尽に走り抜け、骨太な活動を続ける日々の中で、思索の森を歩き、刻む、真実の言葉たち。(毎週水曜日更新)

2008年06月18日

第33話『根を張る、翼を持つ』(南島詩人・平田大一)


シマに着いたとき港はまだ暗い
早朝4時10分だった。
「ようこそシマに!」
暗い港に立つ素敵な笑顔の
フクイさんに迎えられ
僕は始めての島「長崎県宇久島」に降り立つ。

福岡の港を午後11時過ぎに出港
「太古」という名の大型フェリーは
大きなうねりの暗い海の上を滑る様に走る。

重力が前に後ろに移動する。
時には背後に引き込まれる大海原を進む独特な感覚は
記憶を過去に誘っていくのか
少し重い頭で床に横になったんだ。

宇久島は周囲が約40キロくらい。
平家盛公(たいらのいえもりこう)ゆかりの島、
歴史の香りが五島列島を渡る風に乗って
島に降り立った僕のまだ起ききれていない
体をぐわんぐわん揺さぶった。

宿泊所で仮眠を取り
早朝の島めぐりに出かけた。
頭が重い。
まるで「時差ぼけ」になってしまったみたいだ。

「海士」と書いて「あまんし」。
それは、家盛公を助けた鮑(あわび)取りの漁師を
「海の武士」と認めたことからその位(称号)を頂いたとか。
気高き「海人」の島の岬「船隠し崎」に立つと、
僕の足に力が入った。

三浦神社に自生しる「巨大ソテツの樹」の前に
立ったとき、踊るようなそのうねる幹に
「ソテツダンス…」と呟く。

ふるさとの歴史に誇りを持てる物語が
こんなにたくさんあるんだ。

フクイさんが言う。
「平田さん、隣島のあの島は住民の全てが青い目に金髪
 異国の風貌をした島人が住んでいます。
 見た目がそうであるというだけで、勿論、日本人ですが…」


島人よ。
海を渡ると良く分かる。
島には島の数の分だけ島の顔がある。
島の事情がある。
島の物語がある。

足を運んで色んな島を渡り歩かなければ
解らないことが多い。
僕たちにとって一番怖いのは
「心の孤島」「精神の離島」になることだ。

「島に根を張れば張るほどに
 心は翼を持つが如く」

長崎県宇久島。
僕の中の心の地図に
沖縄の直ぐ近くに描かれた。

 南島詩人 平田大一


Posted by 平田大一(Hirata Daiichi) at 00:00│Comments(0)TrackBack(0)

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