2008年02月06日
第14話『源遠長流』(南島詩人・平田大一)

旅の空の下で島を想う。
素直な眼差しで、島を想う。
島が、僕の原点だ。
99年10月15日。
「人と人でつながらない仕事って何だろう」
大阪、高槻の湯船につかり
キムさんはポツリと呟いた。
世の中は「タイムカード」そして、
地位や役職でつながってゆく仕事ばかりが
仕事と思われているから、僕も大きく深呼吸
大きな湯船に肩までつかりゆっくり考えてみたんだ。
1日8時間が仕事、
「アフターファイブ」などという
概念は一体何だろう。
真夜中の風呂場に二人
キムさんと過ごす二人だけの打ち上げは、
本当に人の心が嬉しい「コンサート」だったねと
つい夜遅くまで語り合い「今」の自分を照らしては
ふと考えてみたんだ。
あの頃、島を飛び出してきていた僕は
帰るべき島がない
帰るべき家がない
ホントに!その淋しさに
心が凍えてしまいそうだったから
帰るべきところなき自分というものを
ゆっくり見つめてみたんだ。
色々考え込みすぎて、少し臆病になっていたのかもしれない。
あの頃、どうしようもなく霞んで見えた。
「演出家」というあてにならない道。
「力なき自分」という現実。
酒のせい、それとも風呂で上気したからか、
つい、語り過ぎた夜、黙って話しを聞いていたキムさんは、
優しく笑みを浮かべて僕にこう言った。
「今のままでいいよ、今の君のままで。
人と人でつながらない仕事って何だろう。
俺達は、幸せだよ。そう思わないかい?」
キムさんは、そう言って、また微笑んだ。
僕は、顔を洗うふりをして、そうして静かに涙を拭った。
僕がしたい仕事って何だろう。
人に胸を張って強き自分でいられる仕事って何だろう。
背中で娘に語れる生き方って
何だろう。
家族って何だろう。
生まれた島って何だろう。
根っこって、何だろう。
僕の中から声がする。
「挑み」を求めよ!と声がする。
家族と島と弱き自分に
今こそ向かい合えと声がする。
自分でしかできない生き方を
やりたいだけだ!
それを、やってみよう。
うん。
やってみよう。
「ヒラタダイイチ」というシゴトを。
それが、僕でしかできない仕事なんだ!
ザブン!
勢いよく、湯船に沈んだ。
「前略 南のシマジマ」
コンベンションセンター展示棟。
世界中から集まった「ウチナーンチュ」
5000人の前に僕はいた。
2006年10月15日。
40分という短いステージの出演の為に
集まった僕の仲間は14団体、約400人。
「ちばりよー!世界のウチナーンチュー!」
僕は力の限り叫んだ。
世界に届けとばかりに叫んだ。
あの夜。
あの大阪の夜から、丁度「7年目」の夜だった。
キムさん。
僕は、今でもあの夜のことを忘れていない。
キムさんの優しさを忘れてないよ。
あの夜が僕の流れの源なんだから。
「源遠長流(げんおんちょうりゅう)/源遠ければ、流れは長し」
僕の国ではそう言うんだって、キムさんに伝えたい。
そして、僕は今も旅の空の下にいる。
素直な眼差しで、島を想いながら、
島が僕の原点だと想いを馳せながら。
その島には、優しい太陽の風が
今日も吹いていると、僕は信じている。
南島詩人 平田大一
Posted by 平田大一(Hirata Daiichi) at 00:05│Comments(1)│TrackBack(0)
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この記事へのコメント
平田大一の自分探しは終わりのない旅。きむたかホールで貴方と握手した時、内に秘めたマグマの様なエネルギーを感じました。
私は私の町を見つめ、社会的弱者と言われる方々の『力』になりたい。
政治家が、遠くの方で語っている、人々に届かない政策を、自治会長として、町の人々に繋げる橋渡がしたい。
私の自分探しの旅も終わりがありません。アフター5なんてありません。私は私の小さな町を、どんな時でも見守っていくのです。
私は私の町を見つめ、社会的弱者と言われる方々の『力』になりたい。
政治家が、遠くの方で語っている、人々に届かない政策を、自治会長として、町の人々に繋げる橋渡がしたい。
私の自分探しの旅も終わりがありません。アフター5なんてありません。私は私の小さな町を、どんな時でも見守っていくのです。
Posted by 内間満 at 2008年02月06日 22:32




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