2007年12月04日
第5話『南島の哲人』(南島詩人・平田大一)

「障子の穴の法則って、知ってるかい?」
アグニ島の古い知人は酔った顔で
突然、僕に聞いてきた。
真っ赤に日焼けした顔は、酒のせいか。
それとも昼間の漁の賜物か。
ギラギラした目の光は、だけど異常なくらいに眩しい。
まるで「島の哲人」だ。
酔っ払った「哲人」の言う、かの法則とは、
「障子の穴の外から内(なか)はよく見えないが、
内側の穴から覗き見ると障子の外の世界はよく見える」
というもの。曰く
「この島からは、この国のカタチ、この世界の矛盾がよく見える」
と言うことなのだ。
小さな島の深い夜。
表の福木がざわわ、と揺れる。
遠くから梟(ふくろう)、すぐそばで波の声がした。
島で聞く「哲人」のコトノハは、実に力がある。
ようく見ると、顔に刻まれたシワもただのシワではなく、
深い憂いを醸し出すのに一役かっているような、
そんな演技をしているような気がしてくる。
「この島ではよう、誰もがみんな哲学者なんだよう。」
そう話してくれたのは、島を案内されたときのことだった。
夕暮れの島の高台で空を仰ぎ「ひぃ〜〜うんン」
と鳴く牛の姿を遠く眺めながら、名も無き「哲人」はそう言った。
静かに、そう言った。
わからないことがあるとき、
僕は、そっと、自分の中の「障子の穴」から外を見る。
すると、全ての答えが「そこ」から見える。
思索の迷路、悩みの闇に光りが灯る。
「前略 南のシマジマ
入り口は『島』、気がつけば『宇宙』。
島の奥深い奥の方、
島宇宙の中の自分を遠く眺めながら、決意する
我もまた、南島の哲人たらん!と。」
南島詩人 平田大一
Posted by 平田大一(Hirata Daiichi) at 23:44│Comments(0)│TrackBack(0)
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