2008年07月02日
第35話『夏花』(南島詩人・平田大一)

明るすぎる太陽の
影が濃ゆすぎる…。
このシマの
光と影を考える。
このシマの
昔と今を考える。
海を歩く。
流れ着いた色とりどりの容器、
よく見たら
隣の国々の船から
投げ捨てられたものばかり。
白い砂浜に
累々と転がる
カラフルな容器。
悲しいぐらいに
この綺麗な浜辺の
風景の中におさまって。
浜辺で泳ぐカップルの
風景の中におさまって。
真上から照りつける
陽ざし
立っているだけで
汗がとまらない。
白い浜辺を歩けば
棘棘のアダン葉の奥に
見えてきたんだ
「人間魚雷」の格納庫。
アメリカ軍上陸のとき
敵艦に当って砕けろ!と教えられ、
死に方を教えられ
用意していた特攻艇。
若者達は
この綺麗な浜辺で
この灼熱の浜辺で
何を考えて毎日の訓練に
明け暮れていたのだろう…。
海から吹く風の
トロリとした熱風に
全てが飛んでいく。
結局
船は自爆することなく
無駄に捨てられた。
アメリカ連合軍は
八重山諸島には目もくれず
沖縄本島の中部を目指す。
唯一の「上陸戦」、
それが地獄絵図の始まりだった。
このシマの
光と影を考える。
シマの拝所の入り口の「鳥居」
そんなもの
このシマの元々の文化なんかじゃないよ
と知人が言う。
このシマの
今とこれからを考える。
砂糖キビなんて
この国の政策のひとつ
だから「キビ畑」から「歌」が生まれない
と知人が言う。
やたら威張った「添乗員」が
目の前を通り過ぎていく。
このクニのおかしな「旅のカタチ」。
飽きられていくシマが生まれる「旅のカタチ」。
このシマの
光と影を考える。
このシマの
人の欲深さを考える。
考えながら浜辺を歩く。
歩く
僕は
一人の詩人になる。
波打ち際、赤い漂流物。
浜辺に打ち上げられていたのは
さっきのカップルの捨てた
赤い赤い「夏の花」だった。
南島詩人 平田大一



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